05年に刊行された「大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか」を文庫化にあたり改題し、単行本刊行以降に起きた事態や情報を加筆・修正した作品。作品中重要な役割を果たす人物とのインタビューも巻末に収録されている。
01年3月に起きたアフガニスタンのバーミアン大仏の破壊、その半年後に起きた9.11テロのつながりを関係者の証言等から炙り出そうとした一冊。アフガニスタン(タリバン)とアルカイダ(ビン・ラディン)の関係がいまいち理解できないでいた私にとっては、教科書にも思えるようなわかりやすさだった。
著者はNHKのディレクター。そして、インタビューあるいは接触した人物はいわゆる「高官」ばかり。だから、この作品は地を這うようなノンフィクションではなく、上からの視点で書かれたノンフィクションだ。個人的には前者の作品が好みなのだが、テレビ(NHK)の肩書きがなければ成立しないとはいえ、著者のノンフィクション作家としての力量を認めざるを得ない。読み応えのある一冊だ。
ただし、題材のせいではなく前作「戦争広告代理店」と同じく読後感は悪い。
著者は、大仏破壊以前そしてそれ以降のアフガニスタンに対する国際社会の無関心を問題視しているが、その国際社会の中に「メディア」は含まれていないのかと思ってしまう。著者にはメディアが動かなかったから(無関心だったから)、市井の人達に情報が入らなかったという自覚はないのだろうか。反省すればよいというものではないが、読んだ限り、メディアの罪に触れたのは一箇所しかなかった。
メディアの世界に住む優位性を生かした著者の作品に読む価値があるのは確かだが、それを利用するばかりでメディア人としての自覚と責任があるのかと感じざるを得ない。