音声学を専門とする著者(竹林滋氏の門下生たち)によって書かれただけに信頼感が抜群です。
自分のカタカナ発音を何とかしようと何冊かの教材に手を出しましたが、例えば「若いときにアメリカに留学して苦労して発音を身に付けました」というタイプの著者の本などには、標準的な音声学のテキストとは異なる記述がしばしば見られるので、本書のような「信頼に足る」入門書は貴重な存在です。
もっとも、全ての母音・子音の発音の仕方がていねいに説明されているわけではなく、CDの付属もなく、これ一冊を読んだからと言って発音が良くなることはありません。ただ本書のコンセプトである「習ってから慣れよ」の、「習う」の部分に相当する内容として、最低限必要な事項がバランスよくまとめられているので、本書を読んだあと、他のCD付教材などを使って練習する際、すなわち「慣れる」の部分を実践する際の、はっきりとした指針を与えてくれます。
補足: 発音記号については、どの辞書もIPA準拠の記号ですと言いながら、辞書ごとに微妙に異なるため頭が混乱していたのですが、それらの関係がどうなっているのか、この本を読んですっきり整理できました。