楽器本体に手を触れることなく演奏する楽器、テルミン。今ひとつ知名度が足りないが、世界初の電子楽器であり、現在隆盛を極める電子楽器の祖とも言える存在である。
そんなテルミンが大人の科学の付録に付くと知って、小躍りしてしまった。
というのもこのテルミン、従来は興味本位で手を出すには、なかなか敷居の高い代物だったのだ。本格的な演奏用の機種が10万弱するのは仕方ないとして、最小限のシンプルな構成のものでも、ハンドメイドで高価だったり、キット形式で半田ごてが必要だったり、そもそもそれらも入手困難だったりで、試してみたいだけの素人には二の足を踏ませるような状態だったのだ。
そんなテルミンが、ブックレット+教本つきで、この価格で、しかも全国の書店で手に入るというのだから、まさに革命的な出来事といえるのではないか。
さっそく発売日に購入し、組み立ててみた。音の安定感にはやや欠けるものの30分程度で単純なメロディーを奏でられた。今まで触った楽器とは全く異質な、空間を奏でているような感覚に、非常に満足である。また冊子も、ソ連に翻弄されたレフ・テルミンの生涯や縁者へのインタビューをはじめ、非常に興味深い内容であった。
強いて気になるところを挙げれば、周囲の物体の影響を受けやすく安定感に欠け毎回チューニングが必要な点(これは原理上のもので、高価なテルミンも同様らしいが)、1アンテナの(音量調節アンテナがない)タイプのテルミンである点、付属スピーカーの音はややチープなうえ外部出力がない点(簡単な改造で追加可能)などが挙げられよう。だが、2000円少しで出来る体験としてはまさに最上の部類であり、文句を言うつもりはない。
公式サイトでプロの演奏者による動画が見られるので、興味を持たれた方は是非お試しいただきたい(ただし、動画で使われている物は、上記の改造をして外部アンプに繋いでいることにご注意)。