20年前にこのような企画をされた天野祐吉さんに感謝しています。
マドラ出版で出された単行本も持っていますが,淀川長治さんの美学入門は必読です。映画への愛,映画で描かれる愛を丁寧に教えてくださいます。
「日本の映画は、恋愛に関しては貧しいね。…恋に対して一番がんばるのは、やっぱりフランスだね。アメリカは生きるための恋、イタリアは家族ぐるみ、イギリスには、同じ恋でも戒めがある。イギリスは、恋の教典を持っているの。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』。」p. 154-155
「愛とか恋があるからこそ、人間はいつまでも人間に執着できるの。愛も何もなくなって、仙人みたいに山の中に入ったりするのは、もう人間じゃない。人間失格ね。恋愛とかセックスは、人間の最高の華。その華のつかみ方が下手だったら、人間は惨憺たる地獄に堕ちちゃう。だから、そのためにも、愛の訓練ができていたほうがいいの。」p.150
「本当の愛は、相手を尊敬し、相手の人格を認め、しかも、飽きないこと。この飽きないことの根本は何かといったら,やっぱりセックスだね。尊敬はできても,こんな人とはセックスはできないというのは,愛じゃない。抱かれたい気持ちがなくちゃ,愛とは言えない。だけど,セックスだけが大事かというと,それも違う。そこが愛のデリケートなところ,深いところ,難しいところなんだね。」 p.147-148
もちろん,他の方の講義もすばらしい。川崎徹さんの無意味学を読むと,川崎さんが20年後の現在どうなさっているか,興味津々であるとともにちょっと心配。無意味の世界とこの世界との接点が持てているのかどうか…。
荒俣宏さんの図像学も読んでみて,魚がキリストを象徴しているということなど,象徴への関心が深まりました。
大人のみなさんにお勧めです。
2012/02/13記す