なぜ、人間には発情期がなく、性的に倒錯している部分があるのか、に始まり、
道徳や哲学の問題、フロイトの夢の分析、精神分析学、精神薬、神経心理学
まで、よく、これだけの内容を新書にまとめたものだ、と思うほどの充実ぶり。
さわりだけ紹介するのではなく、(一般人としての感覚だが)かなり専門的な
内容まで、正確に説明を受けたと感じた。
ヒトの道徳心/罪悪感とは何か? なぜヒトのセックスは特別なのか?なぜヒトは心の病にかかるのか?
この問題について、生物学的、人類学的、哲学的そして神経学的に、その歴史などにも触れ、
奥の深いところまでしっかりと解説してくれる。前半は、性の問題をとりあげるなど、
ややズレた感じを受けるが、後半から一気にまとまっていくところが良い。
ひとつこれは、と思った内容は、認知行動療法に関するコメント。
無意識が身体を通じて表れるシステムは、自律神経的なものだけでなく、
心理行動的なもの、感覚的なものなどあらゆるものが循環的に
閉じたシステムになっている。この循環のうち認知的な部分を除去するために
認知行動療法が使われることが多いが、部分的に取り除けても、
長期的な、パーソナリティなどに関係した構造は閉じているので、
最終的にはあまり効果がない。
あまり結論的なものはないが、
「病気がメッセージであり、悪循環、閉じた円環構造がその背景にある」ので、
葛藤を抱え込んでいるなら、まず、その原因となるうそを認容し、
その意味を理解し、精神分析をできるようになろう、
というまとめ方も、納得感がある。