高校で数学の教員をしているものです。
数学の苦手な高校生が、せめてセンター試験で7割を取るためにはどのように勉強したらいいのか。
その基礎体力をつける方法として、これがひとつの解答になりうるだろう。
センター試験の難しさは、「数学的な難しさ」というよりその問題量と煩雑さにある。
そのために必要なことは、特に以下の2点である。
・基本的な手法をしっかりと身につける
・煩雑な計算を一定時間内で処理する
この本は、そのための「トレーニング」ということがはっきり意識された作りになっている。
問題数はそれほど多くない。例題とその類題で117のセットであるが、典型的なものは一通り収録されている。
基本的な問題ばかりとはいえ、鉛筆を手に実際計算してみるとかなり煩雑なものも含まれていることが分かる。
一部の難関大学を除けば、数学において差がつくのは、結局この煩雑さを処理できるかどうかなのではあるまいか。
この煩雑さを処理する力は、「計算力」と呼ばれることもあるが、単なるドリル計算や暗算練習の量をこなせば着くものではない。
問題数は少なくても負荷の高い問題を避けずにやることである。
また、各問題の解法は、愚直なまでに正攻法である。これも入試数学のための基礎体力の養成という観点からは適当だろう。
この本はコンセプトが明快で、レベル、分量とも適当である。隠れた名著といってもいい位だ。
数学が苦手な受験生は、まずこの本を使って、収録されている全問題を速く正確に解く「トレーニング」から始めてはどうだろうか。