以前購入したDVD版は画質が悪く、大好きな映画なのに序盤を少し観たきりだった。こちらのブルーレイ版は画質が高評価なので購入したが確かに素晴らしい。高画質ワイドを大画面テレビで鑑賞することで本作の良さがあらためて分かった。
まずなんといっても「大いなる西部」である。どこまでも広がる空と平原には「本当に“大いなる”だなあ」とほれぼれする。平原の草の一本一本が見分けられ、空の青さは自然な深みがあり、山並みは陰影に富み、遠くから疾走してくる人馬もそれぞれ確認できる。屋外はもちろん屋敷内も広がりと奥行きの表現が素晴らしく、ワイド画面を活かしきった映画作りなのだと実感した。
名優たちの演技や細かな演出、テーマ訴求もより鮮明になった。本作の演出は『ローマの休日』の監督だけに語りすぎず・寄りすぎず・見せすぎずちょっとした仕草や表情と画面の切り替えでさらっと伝える粋なものだが、高画質のおかげで細部まで楽しめる。全体を貫く視点も「消えゆく西部」を名残惜しむような懐古趣味を排した極めてスマートなもので、両家の争いや男女三角関係も恋物語ではなくあくまで新旧二つの世界(価値観)の対比として描かれるが、これが上記の理由からいっそう明快に伝わってくる。長尺ながらテンポ良く引き締まった編集も見事。
難点は日本語字幕だ。
・パティ「I wish you hadn't taken my rifle」→「悔しいわ」
・バック「You cooking, me eating」→「あんたと(略)食事をする」
・ラモン(西語で)「Ramon Gutierrez」→「グイテレスです」
・マッケイ「between you and me, and the horse」→「お前とわたしの」
などなど目に余る。昔NHK教育で放送時の字幕はまともだったと思うのだが。英語字幕に感謝。
ジェローム・モロスの音楽や馬のいななき・疾走音などの音響面も満足できた。つくづく完全主義者が思う存分に腕をふるった精巧で贅沢な映画だと思う。星五つ。