あまり大きな期待をしないようにしていたのに、一曲目の「私の町」からギュッと掴まれてしまった。ストレートに響く歌声に耳を傾ける・・・その奥には多くの葛藤や痛みを乗り越えてきたことを感じさせる「何か」が宿っている。歌い手の姿がはっきりと見えること、これは傑作の条件だと思うのだ。シンガーソングライター・小田俊明の楽曲には、彼自身の姿が見事に投影されて、それでいて普遍的な楽曲の魅力に溢れている。
Love Music Togetherはギター、ベース、ドラムというシンプルなバンド編成ながら、そのプレイは全チューンをたっぷりの歌心で満たしている。いい意味でハッピーエンドを思わせる。プレイヤーのパッションと歓びが、リスナーの心にメロディとなって響いてくるこんなプレイ、なかなかできるようでできないものだ。
親との別離と絆を歌う「夢」、どこか自嘲気味なオトナの恋心「Good-bye My Little Girl」をはじめ、どの曲もステキだが、アルバムラストに据えられた「ライカ」に、とくにグッときた。これはベトナム戦争の報道でピュリッツァー賞を受け、戦場に散ったカメラマン・沢田教一へのオマージュ・ソングなのだが、小田自身の「今」の心情が赤裸々に表現されている。中年の自分が、この世で果たすべき思いとはなにか。若者でないからこそ。あきらめを知っているからこそ、絶対にあきらめられないことがある。「だから俺は歌う」と力を込めたサビの気迫!下がり気味の尻にドスッとケリを入れられて、オレもやるぜ!って気持ちにさせられる。
すぐにか、あるいは数年後か、さらに進化したLove Music Togetherに出会えることを楽しみにしたい。