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夢違
 
 

夢違 [単行本]

恩田 陸
5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「何かが教室に侵入してきた」。学校で頻発する、集団白昼夢。夢が記録されデータ化される時代、「夢判断」を手がける浩章のもとに、夢の解析依頼が入る。悪夢は現実化するのか? 戦慄と驚愕の幻視サスペンス。

内容(「BOOK」データベースより)

夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。予知夢を見る女、結衣子。俺は幽霊を視ているのだろうか?そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する集団白昼夢。狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。悪夢を変えることはできるのか。夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは―。人は何処まで“視る”ことができるのか?物語の地平を変える、恩田陸の新境地。

登録情報

  • 単行本: 492ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/11/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4041100607
  • ISBN-13: 978-4041100608
  • 発売日: 2011/11/11
  • 商品の寸法: 19 x 14 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 25,524位 (本のベストセラーを見る)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
佳作 2012/3/17
久々に読んだ恩田陸の小説。
ぐいぐい進めていくストーリーは秀逸。引き込まれます。
ただし、逆にいえば、若干強引すぎて些細な情景・心象描写に
違和感を感じることもほんの少しだけあった。

読んで損はしない小説。
ただ、個人的な趣向としては、もう一つ突き抜ける何か欲しいと感じた。
このレビューは参考になりましたか?
27 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By suihou トップ50レビュアー
Amazonが確認した購入
恐ろしさとなつかしさがこぐらかりながら、夢の意識状態に巻き込まれてゆくすごい体験でした。
 恩田陸の脳内をのぞいているような体験です。
 ストーリーの骨組みはといえば、夢を可視化保存できる「獏」という機械が開発された少し未来、予知夢を見ることのできる古藤結衣子という女性がその被験者になり、大火事を予知し、その大惨事で彼女自身も死んだと思われていたところから話は始まります。彼女の婚約者の弟だった主人公浩章は、獏の「夢札をひく」仕事に携わり、人の夢に関わっているうちに、現実が溶けてふいに奇妙な情景が見えたり、何よりも、死んだ古藤の気配を、夜の窓硝子に感じたり、幽霊のように目撃したりするようになります。

 その中で、ある学校のひとクラスの児童が集団でパニックに陥り、何があったのかを知るために、浩章はその子どもたちの夢札をひくうちに、ひとりの女の子の異様に鮮烈な夢にあらわれる烏と、それを着ぐるみのように着込んでいる結衣子の姿にめぐりあう・・・・

 悪夢ではないのにぞっとするような夢の感触がちりばめられています。同じ夢を繰り返し見るうちにしだいにぼけてゆく細部とか、あるいは現実の中に、ふいにいつの時代かわからない吉野の桜の花盛りが広がってきたり、読者はこの現実と夢が地続きになる何ともいえない不気味な感覚を味わいながら、「夢札をひく」ことの意味を、また予知夢を変えることの意味へと導かれていきます。
 古藤は生きているのか。
 そして彼女は、いったん夢札を通じて通路ができたすべての人の視覚に出没することができるようになったのではないか。

 彼女を追って、主人公は、かつて夢札にかかわったことのある被験者であった子どもたちを追跡。彼らの夢をたどれば、彼女がいまどこにいるかもわかるのではないか。
 どこへ向かっていくのかわからないサスペンスですが、夢の描写の生々しさとあいまって、ラストまで息もつがせずに読ませます。
 
 この物語で大きなポイントは二つだと思います。ストーリーラインよりも、帯にもあるように「夢の無意識がそうなったように、すべてが可視化されてゆき、幽霊も、イメージも、すべてのものが見えるようになる世界が来る」という、この現実がやわらかくなって無意識の世界と溶け合う体験を、読みながらリアルに味わえることが一つ。(結論は例によって唐突に断ち切られたようになっていますが、それが目的ではない小説だと思います)。

 それに関連してもうひとつは、夢の世界の異様な迫力を、恩田陸が余すところなく描きだしている筆力です。夢という、もともとクリアーな視覚化にはなじまない世界を、この物語で夢札にかかわる人々は、どんどん、他人と共有できる形で可視化できるようになってゆきます。つまり夢のあいまいなこわさと、それを視覚的に説明することが、この小説では驚くべき両立を見せています。ここが物語の迫力の根源だと思います。
 パニックした子どもたちの顔が「真っ白なお面をかぶっていた」ように見えたり、過去に活けられていた別の花が花瓶にだぶって見えたり、視覚という感覚のもたらす目眩と眩暈に、まさに「夢札酔い」させられる。夢という存在の生々しさに背筋がぞくぞくしながら、ページをめくらずにはいられません。

かつて『ネクロポリス』で死後の世界まで可視化(単に設定するのではなく、ヴィジョンとしてその意識状態ごと描く)してしまった恩田陸。
 この小説の新しさは、これがフィクションではなく、まったく新しい現代の拡張現実の行く先を指さしている生々しさだと思います。

<追記>
 このあとで乾緑郎の『完全なる首長竜の日』を読み、ひじょうにテーマ的に似ていると思いましたが、乾作品のほうは、夢と現実の感触が同じように描かれ、どちらもヴァーチャル・リアリティあるいは3D映像を思わせます。そういう描写によって、両者がお互いを侵犯し、まじりあい、どちらがどちらかわからなくなる、という作品の狙いが達成されています。
 しかし恩田作品のほうは、現実とまったくちがう「夢」ならではの質感が書かれていて、現実のほうがそちらへ呑み込まれてゆきます。テーマよりもそのふしぎな夢感覚を描出したことが手柄である、と感じた最初の読みのときの感覚が確認された気がします。

 夢という不思議なものを、かりに人類が共有できるようになったら。そのときには、いまのようなソリッドな現実感覚は消え、夢の材質とやわらかく溶け合ってゆくのではないでしょうか。その感覚をすでに味わった気分です。
 本作に限らず、恩田さんのファンタジーの独自性は、こうした微妙な空気感をとらえる力、場の磁力へと引き込んでゆく暗示的な叙述力にあると思います。
 

 
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夢をデジタル化し、「夢札」として保存することができるようになった。「夢札」を解析する夢判断を
仕事とする浩章は、つねに疑問を抱えていた。「結衣子は生きているのではないのか?」それを裏付ける
ような不思議なできごとが、各地の小学校で起こり始めていた・・・。

小学生の夢札を見続ける浩章。そこに映し出された思いがけないものにぎょっとする。いったいそれは
夢の中だけのできごとなのか?それとも現実の世界につながるものなのか?夢と現実。その境界線が
しだいに消えていく・・・。そもそも我々自身は、本当に現実の世界を生きているのだろうか?もしか
したらこの世の中は、脳が見せる幻の世界なのかもしれない。そんなことを考え始めたら止まらなくなる。
それと同時に、言いようのない恐怖に襲われた。この作品を読むと、自分自身の存在に確信が持てなく
なってしまう。どこまでが夢でどこまでが現実なのか?最後までその疑問に対する答えは得られなかったが、
恩田陸の世界を充分に味わうことの出来る面白い作品だと思う。
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