美しいイメージがこれでもかと押し寄せる。まるで宝石箱をぶちまけてしまったというように。主人公の少女が、海岸で拾い集めた宝物をパズルのように並べて作り出すモザイク模様・・・まるで作中のそのシーンのように、一つ一つが輝いて美しいのに、それらによって造り上げられた模様もまた、壮大な美しいひとつの物語になっている・・・。
ただイメージが美しいだけでなく、そのなかに私は様々な意味を見つける。すべてが生きている。心に響く言葉があちこちにちりばめられている。
面白い本、良かった本は沢山あるけれど、出会えたことに心底感謝したくなる本(=作家)というのはそう多いわけではない。私はこの寮美千子というひとに出会えてほんとうによかった・・・。もっと早く知りたかった、とも思うが、きっと今が私にとっては最良の時だったに違いない。
寮さんは、インドへの旅で、私の知る限りでも、3つの異なった物語を生み出した。そのうちの2つ
楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲― とこの『夢見る水の王国』が、ほぼ同時に作者の中で進行していたことに驚く。なぜなら、それらはまったく違う趣の作品。人は多面性を持つけれど、こんな風にみごとにちがう形でつきつけられ、私はすっかり寮美千子という人に魅せられてしまった。
「夢見る水の王国」とは何処か、「マミ」と「ミコ」とはいったい誰なのか。これがいったいなんの物語なのかを、私が最後に知ったとき、そこからが本当の物語のはじまりであることに気づいた。