『マージナル』や『銀の三角』などで素晴らしい衣装デザインを描かれた萩尾望都氏のオリジナルビーズ作品に興味があり、購入しました。とはいえもともとビーズ自体にはあまり関心がなかったので、漫画ほどの期待感もなく本を開いたのですが…一作目『少年の花冠』で思わず息をのみ、ページを凝視すること数分。そこにはもう2度と会えないと思っていたエドガーがの面影が!これをエドガーの目覚めと見るか、タイトルどおりビーズが紡いだ「夢物語」と見るかは、読者それぞれに委ねられると思いますが、『ポーの一族』を思うと今でも切なさに胸が痛むファンの方には、このページだけでも必見です。
本自体は「萩尾望都キャラクター+ビーズ作品+詩」の見開きコラボページとエッセイコミックスが交互に掲載され、最後に萩尾望都氏へのインタビュー、オリジナルビーズ作品のアルバム、掲載されているビーズ作品の作り方、という流れになっています。エドガー以外にも、オスカーやメッシュ、タダ、『マージナル』の世界など、漫画としては完結してしまい、新たに出会うことはないと思っていたキャラクターたちや世界が、美しいビーズ作品とともに蘇ります。それは、まるで読みながら自分が過去に引き戻されるような感覚でもあり、キャラクターたちが過去から現在に蘇ったようでもあり、連載終了後は私たちから見えない世界で生き続けていたキャラクターたちがふとこちら側にメッセージを送ってくれたようでもあり、またはビーズとともに紡がれた単なる気まぐれな夢物語に過ぎないようでもあり…。萩尾望都ファンにとってはキャラクターたちへのいとしさが増し、ビーズ好きならば純粋にビーズ作品の造形の美しさに心ひかれ、楽しむことができる一冊ではないかと思います。
近い将来、萩尾望都氏の作品世界やキャラクターと、氏のオリジナルビーズ作品をコラボした、作品展なんかが開かれると嬉しいなぁ。そしてその写真集(画集?)なんかが発売されると、もっと嬉しいなあ…なんて夢見てしまいました。