『夢幻紳士 マンガ少年版(全6話)』は、“少年探偵”夢幻魔実也が次々と難事件を解決していく名作シリーズです。基本的にはコメディータッチながら、怪奇・幻想味も十分です。『夢幻少女』は、青年版のシリーズでやってもハマりそうな叙情的なお話です。
便宜上「マンガ少年版」と呼ばれてますが、実は『案山子亭』と『亜里子の館』は掲載誌が違います。これらは舞台設定が異なるし、ギャグもありません。後者は「不思議の国のアリス」の巨大化した少女をモチーフにしたもので、シリーズとしてはかなりの異色作です。
『クレイジーピエロ(全3話)』は、非道の限りを尽くす帝国軍に戦いを挑むクレイジーピエロの活躍を描いた、ピカレスクロマンの佳作です。彼が狂気の衝動に駆られて暴れ回る様は、クレイジーそのもの。
『腸詰工場の少女(20頁)』は初期の短編代表作の一つ。不気味な噂のある腸詰工場に勤める少女が主人公。不幸な境遇にも負けずけなげに生きる彼女が、社長の息子に弄ばれるのが不憫で胸が痛む。彼女を待ち受ける運命とは。
『義眼物語(32頁)』はとても悲しく美しい物語で、非常に完成度が高い。「ここに愛の手を」「無題」(どちらも直近ではベスセレ「ここに愛の手を」に収録)などと共にデビュー前に既に完成していた作品だそうですが、これら3つとも、とてもじゃないがアマチュアに描けるようなものではないです。
『顔がない』『骨笛』『魔女の右腕』の3編は、まずまずといったところです。
(絵物語)「夢幻紳士・遊鬼塔の怪人」
<夢幻紳士・マンガ少年版>
「顔泥棒」
「使い魔の壷」
「青蛇夫人」
「夢幻少女」
「案山子亭」(漫金超)
「亜里子の館」(少年KING増刊)
<クレイジーピエロ>
「クレイジーピエロ」
「クレイジーピエロ・殺人サーカス」
「クレイジーピエロの伝説」
「義眼物語」
「顔がない」
「腸詰工場の少女」
「骨笛」
「魔女の右腕」