07年に出版されたソノラマコミック文庫・新装版「夢幻外伝II」と、収録作品は同じです。「夢幻外伝」9話に加え、その他の短編が8本収録されています。
「夢幻外伝」は、今さら語るまでもない名作です。「水妖」ではある男が、水という水を見るたびその水面に、見知らぬ女の顔が見えるようになる。そして彼は、水の顔と瓜二つの女性と知り合うのだが…という話で、展開の素晴らしさに惚れ惚れします。濃厚な怪奇色漂う「鞄」、無言劇の傑作「首おくれ」も大好き。最終話「黒い天使」も痺れました。
その他の短編も質が高い。「HAUNTED-HOUSE」〜「猫夫人」、「死霊教師」の6本は、83〜84年に「コミコミ(及び増刊)」で発表されたものです。「猫夫人」は、ライヤー教授の1編「猫夫人」とは別物です。「走る女」「死霊教師」以外は外国が舞台で、どこか洋画を見ているような趣を感じます。
「HAUNTED-HOUSE」は、画家の青年がスケッチした幽霊屋敷のようなあばら屋の絵に、描いたはずのない少女と怪物が映っていて…というもの。ブラックなネタやスプラッターなど盛りだくさんな秀作です。「死霊教師」はエクソシスト、ゾンビ他、有名ホラー映画をパロったスプラッター・ギャグです。バカバカしくて最高です。
「遠い道(88年)」はやっぱ“蟹”のイメージが素晴らしいです。悲しくも優しさに満ちた名作。「父の手(92年)」は10頁のショートストーリーです。これは泣けますね…
やはりこの「高橋葉介セレクション」は、紙質はあまり良くなかったです。でも400頁という文庫と同じボリュームを考えるとしょうがないのかな。コレクションとしての魅力は乏しいけど、たくさん読めるのはいい。何にせよ、「夢幻外伝」が復刊されて良かったです。
<夢幻外伝>
第1話「水妖」
第2話「目隠し鬼」
第3話「鞄」
第4話「船は行く」
第5話「続・船は行く」
第6話「泣きぼくろ」
第7話「首おくれ」
第8話「酒毒」
第9話「黒い天使」
「HAUNTED-HOUSE」
「狼と狩人と女」
「少年と犬」
「走る女」
「猫夫人」
「遠い道」
「死霊教師」
「父の手」
あとがき