シュニッツラーの「Traum novelle」には、池内紀さんの訳とこちらの池田香代子さんのものがありますが、どちらもとても美しい翻訳だと思います。
個人的には池内紀さんの方が格調高く、原作の持つ雰囲気をより深く現しているように思いますが、池田さんの訳はとても読みやすく両方おすすめです。
もともと卒論でこの小説を読み、同時代同じウィーンの街で同じ精神科医として活躍したフロイトとの関係を研究(というほど大げさなものではないですが)しました。
キューブリックの「アイズワイドシャット」が公開された時に、こちらの訳で読み返しましたが、ストーリーや人物設定にいたるまで、時代設定を除いてはほとんど原作と同じことに改めて驚きました。
映像で見ると視覚的なインパクトが大きいのでそちらばかりが頭に残るのですが、原作を読めば、実際は人の心理に深くメスを入れた内面の物語であることが分かると思います。
キューブリックの映像は素晴らしかったですが...。
日本では戦前シュニッツラーブームのようなものがあったと聞きましたが、現代では殆ど忘れられた作家といっていいと思います。
これ以外にも、19世紀末のなんとも不安定な世界を、個人の心理描写を通して描き出した傑作が沢山あります。
文庫で読めるものもありますので、是非一度手にとって見てください。
「みれん」、「死人に口なし」などなど...森鴎外や山本有三の翻訳もあります。