「夢喰いメリー」
そのビジュアルに一見していわゆる「萌系」の深夜アニメを連想しがちだが、その本編をみればむしろ「ジャンプ」系の展開をみせる正統少年漫画の血筋を感じる、(初期のブリーチを思い出させるような雰囲気がある。)
また、タイトルキャラクターのメリーの装飾性と記号性の調和のとれたデザインは原作者の非凡な才能を雄弁に語りかけてくる。
そして本作の監督を務める山内重保氏は、キャラクターが視聴者に直接語りかけてくるような印象的な「瞳」を演出し、それがメリーの万華鏡のごときデザインをもつ瞳に見事に親和する。(かつて氏が担当したTVアニメ、ファンファンファーマシーのヒロイン、「ぽぷり」の瞳もメリー同様の不思議な輝きを放っていた。)
背景もあえて都会の汚れを強調していながらそれでいて嫌悪感を感じさせない、汚れた中にある美しさを描き出す、山内氏は「人間の内面の暗部」を描くのを得意としながらも、それよりも大きい人間の美しさへの信頼を同時に描き出せる手腕とセンスの持ち主であり、ただ退廃的、前衛的な描写に心酔する他のクリエイターとは明らかに一線を画する。
またキャストに目を通せば、新進気鋭の若手達の体当たり演技に、敵として登場するキャラクターにベテランを配し、現と夢幻の境界を芝居のスタイルで分けて魅せる、第一話におけるメリーとジョン・ドゥの戦いの場面はその極致と言えよう、またその場面における一見「主人公の少年を助ける異界の少女戦士」のような構図で登場しながら、ただ自分の世界に返りたいという根源的欲望で動くメリーはこの作品が一言で定義付けられない多様性をもつことを象徴している、またその後に見せるメリーの涙はこの新たなヒロインが表情豊かな魅力を持つことを一瞬で視聴者に悟らせる。
(本商品に収録される第一話はシリーズ全体の第一話と言うよりも、放送一回まるごとがアバンタイトルのような創りで、その点が評価の分かれるポイントであろうか)
本編のクオリティの高さに加え特典満載のこの仕様は、制作側の本作にかける情熱と期待の現われであろう、
その期待にこたえてみたくなる魅力が本作にはあると言えよう。