植木さんのお父さんの一代記です。植木さんがお父さんのことがとても好きだったんだなぁ、ということが最も印象に残りました。そして、そのお父さんが、ちょっと信じがたいような波乱万丈の人です。太平洋戦争の前後で、キリスト教の洗礼を受け、社会主義労働運動や部落解放運動に参加します。参加という雰囲気ではなく、事件を繰り広げてゆく感じです。何度も投獄されます。お父さんは、徹底したヒューマニストというか慈愛に満ちたような方だったようです。そのお父さんは若い頃、義太夫をしていた時期があり、芸能界というものにも憧れを持っていたようです。その夢を植木さんがかなえたのでしょう。父親に祖父の話をしてもらっているような懐かしさを覚えました。植木さん自身の物語ではありませんので、そこはご注意下さい。大正・昭和の風俗や水平社等に関心のある方に向いていると思います。