今年(2010年)のノーベル化学賞をヘック博士、鈴木章博士と共に共同受賞した根岸英一博士の一般向けの著書である。この本を読むとやはり一流の科学者になるべくしてなったという感じがする。ご本人は謙遜して書かれているが、子供の時から両親の過酷な農作業を手伝ったり、夕方になると近くのゴルフ場で遊んだりしながら、特に勉強をしなくても成績はトップクラスだったそうだ。そして高校時代に勉強に本腰を入れると一気にトップになり、「東大に行くしかない成績」で見事東京大学に合格したというのだからスゴイ。
本書を読んでいると根岸博士はとても器用で自信家だという事がわかる。ご自身も「永遠の楽天主義」と言っている(もちろんたぐいまれな追究心と集中力などがあってのことだろうが)。ノーベル賞受賞以前にも化学者として数多くの賞を受賞して、「趣味と実益が一致する科学者として、世間の役に立つかもしれないことを成し遂げた」、「たとえノーベル賞を取らなくても、かなりいい人生だったなと思っています」と言える人生は本当に素晴らしい。