今を去る30年くらい前、まだ私が大学生だった頃、今風に言えば、山尾悠子さんは、すでに<神>であった。
「SFマガジン」や今は無き「SFアドヴェンチャー」「奇想天外」に載った独特な文体の文章は、青白いSF好きな大学生にとってまさに衝撃的であり、彼女の作品を出る端からむさぼり読んだものである。
その後長い休筆を経て復活し、読み手もいい中年になってしまったが、いまでにこの独特な文体は彼女しかありえないと思う。
収録作は「作品集成」と重複しているが、彼女の初期作品がこのような形で比較的廉価に読めるのは、とにかくありがたいことである。でも、長編「仮面物語」や句集「角砂糖の日」、そしてなぜか作品集成に収録されなかった「仮面舞踏会」「水棲期 」等の初期短編もどこかで出版されないものでしょうか・・・もちろん私は原本を持ってはいるものの、ぜひ皆さんに読んでほしい。心からそう思います。
ただこの本の凄いところは、初期作品以上に、彼女のエッセイが4本も載っている付録が添付されていることで、私はこれを読むためにこの本を買ったといっても過言ではない。
掲載エッセイ・・
「人形の棲所」「頌春館の話」「チキン嬢の家」「ラヴクラフトとその偽作集団」
個人的には1982年に「
中国・四国 (1982年 ローカル線をゆく〈7〉)」に掲載された「祖谷渓の月」というエッセイで受けた衝撃が未だに忘れられず、それ以来ずーっと彼女のエッセイを探しているのだけれど、ほとんどが雑誌なのでなかなか見つからない。どこかでまとめて出版してくれないものだろうか。