夢もしくは幻想が重要なファクターとなっている7つの短編。私は「夜の魚」が印象的でした。
半分は幻想であり、長い詩を読んでいるような感覚です。「真摯に生きる」などといったフレーズが嘘っぽく感じられてくるような、まあ言ってみれば「脱力小説」です。それでもさすがに、このままで終わるのも気がひけると考えたか、最後はなにやら新しい出会いもあって終わります。もちろん、やがてはその関係も脱力していくことは間違いありませんが…
読み終わって読者が元気をもらえるような小説の対極にある作品ばかりです。愛は現実のように見えて、その大半は幻想に過ぎなくて、人々はそれを必死で現実に引き込もうとむなしい努力をしているのが「現実」、といったところでしょうか。