この作者の作品は本当に見事な安定感があるなぁ。
まだ全三部作の一作目だというのに
すでにこのシリーズが傑作になることに疑いようがありません。
この巻にはある夫婦の物語である<翠輝晶>と
身分違いの貴族の少女と騎士の関係を描いた<蒼輝晶>の二編が収録されていますが
どちらもが素晴らしく綺麗なファンタジー物でした。
過酷な世界のなかでも自分の信じるもののため、想いを貫き通そうとする人々の姿。
たとえ叶わなくとも希望に満ち溢れた彼らの夢には痛いほどの切なさや美しさ、優しさが込められています。
世界観や筆力も重厚かつ丁寧で、短編集としても文句無しの出来ばえなのですが、
それに加えて、それぞれの話も絶妙にリンクしていて、
その人の視点によって同じ時系列・舞台のはずの物語に差異が生まれているのも面白い。
今の時点で伏線らしきものもたっぷり張られていて、
全ての水晶が揃ったとき果たしてどんな物語が生まれるのか今から楽しみです。