不倫の話。
たかが不倫、されど不倫。とても奥深かった。
不倫するサラリーマンの気持ちが表裏全て、浮かれた気持ち、焦り、動揺、感じることが良く伝わってきた。
不倫相手にこう言われればそりゃ嬉しいだろうなとか、あ、こういわれたら確かに一歩引くなとか、作者が男性だからか、男性として読むとどの場面においても共感ができる。
逆に女性の立場から読んでみると(つまり奥さんの側)、かなり手の込んだアリバイ工作にもう感心するしかない(苦笑)
そして女性の怖さもわかる。奥さんと不倫相手。二人は全く違う形でこのサラリーマン男をじわじわと締め付けていく。
不倫相手として徐々に男を虜にして主張を広げていく女と、何も言わないし何も気付いていないのに、無邪気に核心をついてくる妻。
伏線としての昔起こった殺人事件の絡みも面白い。男が不信感を得ていく引き金になりつつも、その殺人事件に自分の気持ちの言い訳を繋げようとする無意識の行動が滑稽なほど面白い。
不倫の是否を問うお話ではない。ミステリーともちょっと違う。
どういうカテゴリーなのか、考えてしまうところにこの本の面白さがあると思った。