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前作では「イワナのもっとも堅固な隠れ場は『昔』の中だ。」と喝破して共感の涙を誘いました。今回は、ちと悲しい。『あてどない希望、決して叶えられることの無い願望と不安感』と定義しています。唸ってしまいました。反省もしてしまいました。でも、救済もありました。
パンドラの箱から飛び出した沢山の魔物や悪いものの最後に出てきた「希望」が最凶最悪の魔物だという説もあります。ポジティブに捉えれば「希望」を叶えるために頑張れる、ネガティブに捉えれば希望が叶えられるはずがないから悲しいし絶望する。
釣りは救済なのか邪悪な呪いなのか?小学生の時の鮒釣りは楽しかったし、今も鱒釣りは楽しい。でも反面、鮒が釣れないボーズの時、大枚叩いた釣行で釣れない時の苛立ちと不安。まさに「あてどない希望」です。麻薬中毒とかアルコール依存症よりもひどい症状を顕すツリキチの本当の呪縛を指摘しているのかもしれません。
湯川氏の釣友の野沢氏のように呪いから逃げるために断釣を選ぶのか、叶えられないのは半ば承知の上で追い求めるのか、正念場の選択です。
世界3大チョークストリームの全てで鱒を釣りました。素晴らしい達成感と充実感を得てハッピーでしたが、同時にあと2cm大きければとか、あの時こうしていればとか「タラレバ」の後悔と不安が残りました。これぞまさに釣りの福音と呪縛の葛藤でしょう。
湯川さんのエッセイは釣り師はもちろん人生のイロイロに対しても納得の行く解釈を提示してくれる偉大な説教です。
まだ最後まで読んでいないが、出来れば釣り人として環境保全に言及
して欲しかった。それが出来る人なのだから。
著者は文芸春秋社を退社され現在は東海大の教授をされているそうだ。
是非とも講義を聴いてみたい。
今後のご活躍をお祈りする。
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