300ページ過ぎまでは、心地よいユーモア交じりの語り口でサンディエゴ近辺のサーフィン仲間の”友情と愛””過去と現在”が展開、
そこに軽く街の顔役絡みの殺人事件が起こる、みたいな展開。それもあくまでも、サーフィンの付け足しに、と言った感じ。
其処かしこに、サーフィンの歴史、サンディエゴの街の成り立ち、日系人の奮闘と、本筋とはチョッと離れた<うん蓄話>が織り込まれ、
かってカリフォルニアに在住した事のある私にとっても懐かしい地名が続々と登場し『犬の力』『フランキーマシーン』とは<ちょっと毛色が違う>、
<けど、それはそれですごく面白い>とページをめくらせられ続けたのだが....
300ページを過ぎた辺りから、様相は一変、深く暗い竪穴にたたきつけられるが如く、”軽い”はずの本筋が、まさしく”ノアール"
に向って加速してゆく。そのギアの切り替えが実に心地よく、こうなると、何処で読むのを小休止していいのか...最後はいつも通り
<鮮やか>で締めくくられる。『犬の力』でメキシコ麻薬に怒った作者は、ここでもメキシコの貧しさに怒る。
この辺りの概要は、<訳者あとがき>が実に上手く、”後書いてある”ので繰り返す必要はないでしょう。
読後感は、いわずと知れた70年代の名作映画「ビッグ・ウエンズデイ」とレヘインが創作したボストンを愛した探偵パトリック&アンジーの『雨に祈りを』。
面白くないはずは無い。
好き嫌いは常に有るものでしょうが、『犬の力』のすさまじい殺戮譚に腰が引けた読者も、本作は結構受け入れやすいと期待。
普通なら上下巻にして出版されても文句のないヴォリュームだと思うが、単巻にて出版の角川にThank you!
(コストパーフォーマンスというのは、消費者=読者、夫々に判断基準が違うので何とも言えないが、私に関しては、コスト・パーフォーマンス◎作品)
本作にて、ブーンと、その仲間の生立ち紹介も終わり、第二作『The Gentlmen's Hour』が本当に待ち遠しい。
レイン・スウイーニーの件はかたがつくのか....