カナダのAORというと,個人的にはドウェイン・フォードの印象が強いが,AORファンの間で根強い人気を誇るのが本作だ。エアプレイのジェイ・グレイドンや,リー・リトナーなどの大物アーティストが参加しているのも注目だが,何と言っても澄み渡った青空のように透明感のあるメロディーとそよ風のように優しげなコーラスがいい。
特に冒頭の「You Can’t Treat Love That Way」は数多のAORバラードの中でも十指に入る名曲。ジャケットのイメージそのままの爽やかな朝を想起させながらも,時折感傷的な表情も見せるメロディーが素晴らしい。これに続くのが「過ぎゆく日々〜Fast Livin’」。透明感のあるコーラスと感傷的なメロディーがいかにもAOR的なアップテンポで,哀感を帯びたギターソロが渋い。カリフォルニアあたりの爽やかな青空を想起させるアメリカン・ポップス風の「Never Gonna Let You Go」もいい。珍しくハードでシリアスなギター・サウンドで幕を開ける「夜明けのダンサー〜Little Dancer」もサビは爽やかなコーラスでまとめている。
セールス面では振るわずこれが唯一のアルバムとなってしまったが,時代を超えて支持され,CD化に至ったことは嬉しい限りだ。