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夜愁〈上〉 (創元推理文庫)
 
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夜愁〈上〉 (創元推理文庫) [文庫]

サラ ウォーターズ , Sarah Waters , 中村 有希
5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で生きるケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たち。戦争を通じて巡り合った人々は、毎日をしぶとく生きていた。そんな彼女たちが積み重ねてきた歳月を、夜は容赦なく引きはがす。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実や心の傷をさらけ出す。ウォーターズが贈るめくるめく物語。ブッカー賞最終候補作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中村 有希
1968年生まれ。東京外国語大学卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 348ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2007/05)
  • ISBN-10: 4488254055
  • ISBN-13: 978-4488254056
  • 発売日: 2007/05
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 69,623位 (本のベストセラーを見る)
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21 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
戦中戦後のロンドンを舞台に様々な人が織りなす群像劇。内容をシンプルに要約すると、たったこれだけの話なのである。だが、それがこの作家の手にかかると、目にも鮮やかなアラベスクのように入り組んで絡み合い、読み応えのある一級の作品に仕上がっているから素晴らしい。まず目を引くのが構成の妙だ。本書は大きく三つの章に分かれている。だがそれが時系列順に配されるのではなく、1947年、1944年、1941年と過去に遡る配列となっているのだ。だから、まず結果が示される。それぞれの人物たちがどういう境遇にいるのかが描かれる。読者にとってみれば、結果がわかってしまっているのだから、本来ならその先を知る必要はないのだ。だが、本書はそこから過去に遡ることによって、いったいこれらの人物たちに何があったのか?という興味でグイグイ読ませてしまうのである。男装の麗人であり、ミステリアスな存在として登場するケイ。二人で同居しレズビアンの関係でもあるジュリアとヘレン。ヘレンの同僚で不倫の関係に悩むヴィヴ。ヴィヴの弟で刑務所帰りのダンカン。これらの人物たちが絡み合い、干渉し相乗効果を生みながら過去に遡っていく過程はとてもスリリングだ。本書はミステリではない。だが、この過去への遡行という構成自体が大きなミステリとして機能しているのである。結果、大きなカタルシスは味わえないが、謎を追うというミステリ的興趣は充分堪能できる作品となりえている。もう一点言及しておきたいのが、同性愛というテーマだ。戦中、戦後というこの混乱した時代に同性愛という世間には受け入れられない宿命を負ってしまった者たちの不安、焦り、賛歌がこれでもかというほど描かれてるのだ。ともあれ、本書は小説を読む歓びを十二分に堪能できる作品だった。読んでよかった。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「半身」「茨の城」でこのミス一位を2年連続でとったサラ・ウォーターズの3つめの邦訳です。第二次世界大戦中・後を舞台に、現代から過去へとさかのぼる構成で、複数の人間の心の闇を丁寧な筆致で追っています。本作もこのミスにランキングしているので、それを見て購入を検討される方もいるかもしれませんが、この本はミステリではありません。ミステリの要素はあるのですが、シリアスな文学作品と思った方が実際に近いです。

イアン・マキューアン「アムステルダム」やカズオ・イシグロ「日の名残り」などが受賞したブッカー賞の最終候補ですので、作品の質は折り紙つきですが、普段ミステリなどの純エンターテイメント小説やハリウッドなどの娯楽映画しか見ないという方は、楽しめないかもしれません。純文学小説やヨーロッパ映画なども好き、救いのないものでも良いものは良い、などという方にはおすすめです。

ですが、まったく面白くないのかといえばそうでもなく、もともとミステリを書いている人だけあって、謎をうまく引っ張りながら高いリーダビリティで読ませます。私は前巻の途中からは一気に数時間で読んでしまいました。邦訳された3作品の中で一番好きなのもこの作品です。ただ、大きな事件があるわけではないので、淡々とした面白さ・人間の心の謎を追う面白さにはあまり興味がないという人には退屈かもしれません。

同性愛表現がこれまでで一番顕著ですが、女性同士でも片方が男装の麗人だったり、中性的な美女だったり、男性同士でもこちらは表現が薄い上、ハンサムな青年と少年に近い美青年だったりするので、あまり生々しくはありません。耽美小説の延長上くらいの感覚で読めるのではないでしょうか。
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14 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
期待はずれ 2007/8/5
By 子馬
形式:文庫
サラ・ウォーターズは、『荊の城』で娯楽性の高い、ハラハラするミステリを描いたが、本書に同種の面白さを求めると期待を裏切られる。

1947年、44年、41年と時代をさかのぼり、登場人物たちの背負う過去が明らかにされていく、という構成は新鮮ではある。
しかし、その過去はいかにも陰惨で、人物同士の関係はじっとりと重苦しく、そんな過去は別に知りたくもないのだった。
作者の、牽引力や、文章の歯切れのよさは健在だが、読み進めるにつれ、気が滅入る。

後のほうを読むと、本の先の方(後の時代)に登場する物事のあれやこれやが、どのような過去や因果関係を持つかが分かる仕組みにもなっているが、再読する気にはなれない。
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