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18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「音楽」「才能」「夫婦の黄昏」、ユーモアに思わず微笑み、胸に沁みるいい短編集,
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レビュー対象商品: 夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫) (文庫)
’89年、自身の第3長編『日の名残り』で英国および英連邦文学の最高峰「ブッカー賞」に輝いたカズオ・イシグロが’09年に発表した初短編集。本書は、何年かに書き溜めておいた短編を集めたものではなく、イシグロが「今回は短編を書くつもりで短編を書いた」という5編の書き下ろし短編からなっている。「老歌手」往年の名歌手が、結婚27年目にハネムーンで訪れたベネチアを再訪。ある夜、ギタリストの‘私’に伴奏をさせてゴンドラに乗って、別れる寸前の妻のいる窓べの下でセレナーデを歌う。 「降っても晴れても」47才の冴えない英語教師の‘ぼく’は友人から離れ始めた妻の心を引き戻すため、自分の“引き立て役”になってくれと頼まれる。事態は思わぬ展開になり、‘ぼく’の笑うに笑えない奮闘が始まる。 「モールバンヒルズ」芽の出ないミュージシャン志望の‘ぼく’はイギリスの田舎で姉夫婦のカフェに居候する。そこで倦怠期を迎えたスイス人の夫婦デュオと出会い、励まされる。その後の彼らがどうなるのか気になるという余韻が残る。 「夜想曲」才能はあるのに売れない醜男のテナーサックス奏者の‘おれ’は整形手術を受ける。包帯で顔をぐるぐる巻きになって回復中のホテルで、隣室のセレブ(「老歌手」に登場したくだんの妻と同一人物)と共にとんでもない“夜の散歩”を体験する。 「チェリスト」ストリート・ミュージシャンの‘私’は7年ぶりにそのハンガリーの若者を見かける。かつて彼は自らを“大家”という41才のアメリカ人女性に、彼女のホテルのスイートでチェロの特訓を受けていた。やがて別れとお互いの再出発の時が・・・。 本書は、「音楽」と「夕暮れ」を共通のモチーフとして、“音楽の才能”、“夫婦の黄昏”、“男と女、人と人とのすれ違い”をイシグロ流のセンスで描いた逸話ぞろいであり、その、時には大真面目な、時にはコメディタッチなユーモアに思わず微笑みながらも、読み終えたあと胸に沁みる、いい短編集である。
37 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
長編にはない新鮮な趣が・・・,
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レビュー対象商品: 夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (単行本)
過去、文芸誌等にていくつかの短編(『夕餉』など)は訳出されたことがあるものの、 「短編集」としてはイシグロ初の一冊。 通奏低音として流れるのは、引き続き 「個人にとっての大事な過去と、記憶の改ざん」 というテーマであり、夕暮れの時刻はまこと そのテーマに相応しい。 また元ミュージシャン志望だけあって音楽には詳しく 全編男女の悲哀に焦点が当てられ 一篇を除いて舞台を都市に設定するなど 長編にはない新鮮な趣がある。 どちらにせよ、一読して地味な作品群ではある。 しかし氏の敬愛するチェーホフと同じく、 表面的な静けさが必ずしも文学的な静けさでは無い、 ということが真に理解できる一冊である。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
かなり大人の恋物語,
By kumin (熊本市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (単行本)
この短編集のどの5編にも、すこしばかり年のいった女性ならではの、 ちょっとした機嫌の悪さや、気持ちのムラ、 静かな常軌の逸し方が描かれている。 けれども、重い感じではなく トニー・べレットやシナトラ等の スィングやバラードのリズムとメロディーをバックに 物語を楽しむことができる。 ストーリーを追いながら、短時間で読める内容だ。
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