吸血鬼が集まるホストクラブに迷い込んでしまった少女をめぐる事件の話です。
吸血鬼たちは由貴香織里ならではのゴシックな雰囲気と色気があって、
この作家は昔から軸がぶれてないなと感じます。
良く言えば耽美、悪く言えば邪気眼な作風は健在です。
完全版ということで、話の核心となるエピソードと後日談が新たに収録されているようです。
……が、個人的には吸血鬼たちの過去やそれに関わるキーパーソンを描写せずに、
謎を含みつつも一話完結で進む形式で通しても良かったと思います。
蘇芳たちが何故吸血鬼になったかというあらましと彼らが求める聖女エルオーネのエピソードは正直尺が足りず、
それでいて吸血鬼ホストの面々ひとりひとりを掘り下げるにもいたらずで、
どうにも中途半端に語られてしまった感があります。
オカルティックな方向よりも、「現代日本を舞台にした怪しげなホストクラブ」というアプローチの方が
面白かったのではないかと思い、とてももったいなく思います。
また、「ホストクラブ」という舞台も少女漫画お決まりの「美形がちやほやしてくれる場所」で、
そろそろこの手のお上品なホストの表現は食傷気味に感じました。
画風とあいまって吸血鬼の退廃的な雰囲気は感じられるだけに、
モチーフとストーリーの消化不良が目立ち、とても「惜しい」作品です。