かの有名な松本清張の「闇に駆ける猟銃」、そして筑波昭の「津山三十人殺し」に詳しい大事件をもとに、彼女独特の世界を繰り広げた作品。貧困と無知とそして閉鎖的な村の、インモラルでなおかつ「伝統的な」淫靡な日々。そこから生まれた「鬼の子」のたどらざるを得なかった道のりを、ネチネチとした岩井ならではの岡山弁でつづっている。
読むにつれ、不幸せな人々の、汚れた、それでいて必死な毎日が、読んでいるこちらにも重く澱のように積もってくる感じだ。最後の破綻は、この小説内ではそれほど詳細にふれていない。しかし、全て「清算」が済んで気持ちがよいような気にさえなった。
それにしても、作者の、この暗くて重くてネチネチした感じは貴重だとあらためて感じました。