健さん演じる修治は、15年前までは大阪のミナミで鳴らしたヤクザ。その男気で皆を魅了していた。しかし今は足を洗い、妻と3人の子供を養うために日本海の海で漁師になっている。
そこにミナミから小料理屋の美人おかみ・蛍子(田中裕子)が流れてくる。修治に、昔を思い出させ、穏やかだった生活にひと波乱。
健さんの演技が絶品。家族のために漁師としての暮らしを続けていかなければならない修治。平穏な暮らしに不満はないが、このまま海辺の漁師町で歳をとってしまっていいのかという疑問も抱かないわけではない。
一方で家族に対する責任。他方で、華やかな生活や自分を練磨していきたいという希望。多くの中年男性にとって、ある意味、この二つの相克は普遍的なテーマ。その中で揺れ動く男の生き方を健さんが示してくれている。
ラストシーンで、「青春は素晴らしいと思いました」という都会に出た隣家の若者の手紙を読みつつ、海をみつめ、サングラスをかける健さんの表情には、万感がこもっている。
つけくわえれば、音楽も絶品。ジャズが一つ一つのシーンによく合っている。上記のラストシーンにかぶさってくる曲も、すばらしい。
サントラは廃盤で手に入りにくいようだが、ぜひ再盤、またはネット配信で買えるようにしてほしい。