時代物です。舞台は江戸。町人もの(そんな分野があるんでしょうか?
戦乱とか殿様が出て来ないので)
僕は東京にはあまり縁のない人間なので、
両国とか上野とか江戸の地名を出されても
どこやねん?という感じでイメージ的にさっぱり位置関係がつかめないんですが、
めげることなく読み終えられたのはやはりストーリーが面白かった所為でしょう。
それに、物語の立ち上がりがなかなか技ありな切り出し方だと思います。
皆さんはさておき自分としては、案外最初に出て来る登場人物が
主人公という捉え方で読み進める事が多いのですが、
実はその女性の父親が主人公で、主人公の回想で話が進んで行くところに
「おぬし、やるな」と思いました。
小説は最初の数行が命だと言いますが、
ものの見事に最初の数行でこの物語の世界に囚われの身となってしまいました。
またエンディングも絶妙で、釜炊きの茂平のところへ訪ねて来た人物も
具体的な描写がなく、「こいつ、誰なん?」とつい頭をひねらされました。
余韻がしばらく残りました。見事な締めくくりだと思います。