「夜光人間」―タイトルからして興味を惹くこと間違いなしですね。
期待に違わず,不気味な夜光人間の出没から物語が始まります。
もちろん,これは四十面相(二十面相といったほうがなじみ深いでしょうか)の仕業なのですが,その目的がはっきりしないのがまた,怪奇味を盛り上げます。
(結局,夜光人間の騒動は,二十面相の手間をかけた‘演出’であったことがのちにわかります。)
また,二十面相がチンピラ隊に捕まりそうになったときも,(当時としては)驚くべきギミックで難を逃れます。このあたりの息もつかせぬ展開が,読者を引き込む魅力の一つです。
本作では,二十面相の盗みの鮮やかさよりは,明智たちへの復讐に重点が置かれています。
しかし,それは陰湿なものではなく,少年ものらしい‘健全な’内容となっています。
すなわち,小林少年たちの命に危険が及ぶことなく,しかも「秘密の地下道」「おとし穴」「土ぜめ」など,少年たちが愛して止まない“秘密基地”の要素が満載されているためでもありましょう。
最後まで意外性を楽しめる,健全な冒険・探偵小説です。