解説でも「娯楽小説」とあり、なかなか少女趣味でかわいいお話です。
マドモワゼルという雑誌に連載していたそうなので当時のハイティーン向けなのでしょう、
ちょっと甘くて、少し謎もあり…と、ライトで読みやすく、
ときめいてしまった箇所もありました。
稲垣絢子は同じ乗馬クラブの滝川夫人に気に入られ、息子の俊男と結婚します。
小説の前半は結婚するまでの日々、そして後半は姑対嫁の確執(といってもドロドロっとした重いものではありません。)
がテーマに。
絢子は物事をそれほど深く考える女性でもないので、何事も流れに任せてサラっと過ぎてゆきます。
逆に俊夫は、一定の階級に産まれ育ったことにいろいろと悩んでいるようですが、
主人公ではないので、後半サラリと本音を語る程度。
非常にサラサラしていて、軽い気分で読み進められます。
お洒落に空想できる描写のなか、重くなく、軽すぎず、華やかなスパイスがあり、
問題や確執もあるけれど、それがさほどドラマチックな展開など引き寄せず、
あくまでも現実的に普通に起こりうる流れで進んでいく感じが気に入っています。
終わり方もスッキリとしていて爽やか。
文中の皮肉な描写も冴えているのですが、
いい具合に全体的にロマンチックです。
現実的でレトロなおとぎ話というか、ほんのり甘い、淡い桜色の空気が全体に漂っている感じです。
性別年齢関係なく、乙女な心をお持ちの方はお好きかも。と思います。