読み終えて一ヶ月近くなる。二人にそんなに萌える事はなかったのに。ずっとこの奇妙な住人達が頭の中に棲みついて離れない。
数ページ読んで、ああ嫌な予感が…と思いつつも絡め取られる様にして最後まで読んでしまった。
河瀬は意に反する条件を呑み、理想としていた上司(男)と寝るハメに。だが裏切られたと思い殺意を抱きたい程憎む。(「抱く」が「殺したいとは思っていない」)殴る事で怒りを晴らすつもりが運悪く交通事故に遭わせてしまう。(後で分かるのだが)実際、約束は守られており希望の異動が叶う。………。約束が守られていなければ違った見方の余地もあるが…男はタチが悪いが条件を呑んだのも(結果的に)事故に遭わせたのも河瀬。それまで立場を利用しズルイ上司としか思えなかったはずの男が単純に憎めない形となる。
数年後再会。河瀬は男の破綻ぶりに驚くが罪悪感も付き纏う。
男は仕事が出来て対外的に取り繕うのに長け擬態と表現。汚部屋に住み、死を仄めかし、加瀬を見透かすように翻弄する。そして加瀬は男の面倒を看るしかない状況に陥る。
“望まないのに(面倒・厄介事)背負わざるを得ない立場に立たされる絶望…。”
「もう十分責任は果たした」といえるのか。死のうとする人間を手放していいのか?男に頼れるのは自分しか居ない状況…。現実の世間も厳しいです。(似た経験があるので…河瀬をお人好しとも偽善者とも思えなかった…)
私は男がゴミを溜め片付けないのは…心の空洞を埋める為だからかな…?と思いを巡らし、男の悲痛に胸が詰まる。本当に死にたかったのか?止めて欲しかったのか?長年、闇を抱えた自分そのものを許容して欲しかったのか(想像でしかありません…)。
男は目は見えなくなるが「心の目」は鋭く、敏感に河瀬の感情を悟り逆なでする言動で試しているような気がしました。(素直でないし、ややこしいよ!苦笑)
また河瀬にとって男は一度恨んだ思いがあり理解を超えた存在で。でも終盤、憐れみからか「抱く」んですよね…。何故開けなくてもよい扉(肉体関係)を自ら開いてしまったのか…?愛へと変化するのか。果たして謎かもしれないが他人(読み手)からしたら「理解出来ない」=「闇」という事だろうか。
著者がこの物語で何を伝えたかったのか未だ分からない。BLなのか。愛なのかなんなのか。でも気になって仕方がない。忘れられそうにない。理解できない事も多いし、なるべく拘わりたくない事柄ばかりだ。
でも「何故か惹かれてやまない」。この得体の知れぬ感情こそが『心の闇』なのか……?
読み応え度☆5。萌え度☆2。個人的総合評価☆5。
客観的お薦め度☆1もしくは☆5。※評価も分かれているので…。
(軽率にお薦めは出来ません。誰にも内緒でひっそり仕舞っておきたいのが本音;)
ご購入の際は、高評価・低評価のレビューどちらも熟読なさって冷静にご判断される事が望ましいでしょう。肝心なのは「感覚で合う・合わないか」「覚悟がある・ないか」だと思います。