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夜をゆく飛行機
 
 

夜をゆく飛行機 [単行本]

角田 光代
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

どうしようもなく、家族は家族−−うとましいけれど憎めない、古ぼけてるから懐かしい。変わらないようで変わりゆく、谷島酒店一家六人のアルバム。直木賞受賞後初の長篇。

内容(「BOOK」データベースより)

どうしようもなく、家族は家族。うとましいけど憎めない、古ぼけてるから懐かしい、変わらぬようで変わりゆく谷島酒店一家のアルバム。直木賞受賞後、初の長篇。

登録情報

  • 単行本: 289ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2006/07)
  • ISBN-10: 4120037525
  • ISBN-13: 978-4120037528
  • 発売日: 2006/07
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 少しづつ変わっていくサザエさん一家, 2006/8/6
レビュー対象商品: 夜をゆく飛行機 (単行本)
角田さんの小説の、独特の雰囲気と登場人物の生々しい感情描写がとても好きで、よく読みます。
この直木賞受賞後初の長編「夜をゆく飛行機」は家族が題材なのですが、同じく家族を扱った「空中庭園」よりも、展開が早くめりはりがあり雰囲気が明るいものになっています。
角田さん自身も、サザエさんのような一家、とインタビューで言っているとおり、ほのぼのとしたサザエさん的な空気が作品全体を包んでいます。
個性的な四姉妹の軽快なやりとりには思わず笑ってしまいました。
しかし、やはり角田さん。共感できる部分や鋭い心情描写は随所にあります。

雰囲気が暗くならないのは、語り手の18歳の「わたし」が割と前向きで一生懸命だからかもしれません。
個人的には、次女の寿子ちゃんがとても愛おしく思えました。

☆4つなのは、角田さん特有の生々しさや胸をえぐるような筆致を期待していたので、少ーしだけ物足りなさを感じたからです。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 シャープさを抑えた人物設定, 2006/9/10
By 
くわもちじんぺい (新潟県) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 夜をゆく飛行機 (単行本)
 二番目の姉が小説家になり、おばが亡くなり、長姉が男と失踪し、祖母が亡くなり、稼業の酒屋は改装する。だが、激変する周囲に乗れず、視点人物の里里子が、いつまでもモラトリアムで取り残されていく。里里子のもたつきが、じれったいまでにじっくり書かれていた。三人の姉達はドラマチックに自分の生き方を(いい悪いは別にして)確立していく。

 何事もなかったことにして今までと同じことをしたがる父母のDNAを、里里子が一番受け継いでいるようだ。今はまだ助走期間で、これから離陸できるのだろうか。

 大変なことがいろいろあるが、里里子にはうまく受け止められない。こういう凡庸な人物は、角田作品のキャラクターとしては新境地ではないだろうか。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 中間みたいな場所へ, 2006/8/16
By 
ソコツ - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: 夜をゆく飛行機 (単行本)
角田ワールドはどんどん拡大している。これまでの作品と似た部分も無論あるが、新しいおもしろさを確実に加えている。ちょっと、直木賞またあげて、とファンの勝手な要望を誰にともなくしたくなる、この小説はそんな傑作である。個人的には、『対岸の彼女』よりいいんじゃないかな、と思った。

家族が崩壊していく話、である。すごく大雑把に言えば、「空中庭園」に至るまでの道、と無理を承知で例えられるだろうか。その過程が、語り手の「私」が子供の純真(ああ、表現力がなくてすいません)を喪失していくきっかけとなる出来事の連続とともに進行していく。

「私」にとって、あたりまえでなじみぶかいものたち、ぬかづけや煮物のように素朴だけれども素敵な日々の生活の味わい、空想でありながら現実よりリアルな「あの世」の住人との大切な会話、そうしたものが、気がつけばどんどん失われていたことに気づく。かわらずよいもの、いつまでもあってほしいもの、が、しかし何か特別に悪いことをしたわけでもないのに、無常の時間のなかやがてゆっくりと崩壊していく。角田さんの小説によくあらわれてくるそのさびしさは、この作品でもあいかわらず新鮮で、毎度毎度、じん、とくる。

そして、本作において一目瞭然に重要なのが、語り手のお姉さん(上から二番目)が小説家としてデビューし、しかも、その小説が彼ら家族の「ありのまま」の情景を描いている、という点である。この「ありのまま」が「ありのまま」でなくなり、やがて「フィクション」として生れ変っていくという流れが、この作品のキモなんだろうと思う。その変化が切ない。でもそれが現実だから受け容れなくてはならない。かつてあったはずの「ありのまま」は、もはや時間を止めた虚構のなかでしか生きていけないような気がする、でも、それはたぶん今だ私たちの理想だからこそ、虚構のなかでは生きていける。たぶん、そういうことなのではないか。

「中間みたいな場所」。この小説にたくさんスケッチされ、追憶されていながら、この小説から徐々に失われていくというつかみ所のない場所である。「あいまい」なものたちのある場所、といってもよさそうだ。そこで自然に生きていたころは自覚することもなく自然だったが、それを意識しはじめたときには、もう、どこにもない場所。

もう戻れない、だからせめて、小説のなかだけ。できれば角田さんの文章で、さらにすばらしい「中間」の世界にひたっていきたいと願う。
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