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夜よ鼠たちのために (新潮文庫)
  

夜よ鼠たちのために (新潮文庫) [文庫]

連城 三紀彦
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

脅泊電話に呼び出されて出かけた総合病院の院長が殺され、続いて、同じ病院の内科部長の死体が発見された。見つかった二人の死体は、首に針金を二重に巻きつけられ、白衣を着せられていた。何故二人がこんな姿で殺されたのか?そして、「妻の復讐のために殺した」という犯人の電話の意味は?執拗な復讐者の姿を追う表題作ほか、人間の心の奥に潜む闇を描くサスペンス6編。

登録情報

  • 文庫: 290ページ
  • 出版社: 新潮社 (1986/04)
  • ISBN-10: 4101405026
  • ISBN-13: 978-4101405025
  • 発売日: 1986/04
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 483,172位 (本のベストセラーを見る)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 東の風 トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 ミステリー小説の名品『戻り川心中』の著者・連城三紀彦(れんじょう みきひこ)の初期の短篇集。1983年(昭和58年)の作品で、「二つの顔」「過去からの声」「化石の鍵」「奇妙な依頼」「夜よ鼠たちのために」「二重生活」の六つの短篇を収めています。
 話の途中で、がらりと景色が変わる反転の妙。読者を錯覚させる、だまし絵的な筆致。非常にトリッキーな趣向を凝らした仕掛けに、話の途中で必ず一度は、「あれれっ?!」と幻惑させられましたね。その反面、まず起こりえない不自然な状況が生まれるので、そこを現実味がないととるか、だまされる快感ととらえるかで、評価は全く逆になるでしょう。私は、話の絵柄が変わった時の鮮やかな印象が強くて、面白いなと思ったんですけれど。
 なかでも気に入った作品は、「過去からの声」。一年前に刑事を辞めた男が、一緒に事件の調査にあたった年配の刑事に語りかける形式で、ふたりが関わった誘拐事件のあらましが綴られていきます。タイトルにあるように、過去に起きた出来事が話に深い陰影を与えるところ。話のメインとなる誘拐事件の裏側にあるからくりの、非常に風変わりなこと。トリッキーで、風情のあるミステリー短篇として心に残るものでした。
 それから、作品全体の雰囲気が、ウールリッチ(アイリッシュ)のサスペンス小説に近い風味があるなあと感じましたね。殊に、復讐をモチーフにした表題作は、ウールリッチの『喪服のランデヴー』と通じる異様な恐さがあって、ぞくりとさせられました。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫
作者は叙情派作家として名高いが、デビュー短編集「変調二人羽織」は本格物だった。本作は原点に立ち戻り、更に人間模様の綾を織り込んだ読み応え充分の出来になっている。

「二つの顔」は自分にとって「二つの顔」を持つ妻を発作的に殺してしまった画家が、死体を庭に埋めて外出するが、何と自分のアリバイが成立してしまう。この不可能状態の中で混迷する画家に突き付けられた真の「二つの顔」の意味とは。「過去からの声」はデビュー短編「変調二人羽織」と同じく退職した元若手刑事の推理で、現職の先輩刑事が扱う誘拐劇を語る趣向。この形式は懐かしい想いがした。誘拐劇そのものも良く練られており、主要人物の苦悩が浮かび上がって来る。「化石の鍵」は少女と父、別居中の母の3人の思惑が異なり、不可解な事件が発生するが、少女の純粋さが家族の絆を強める。「奇妙な依頼」は興信所の調査員に課せられた奇妙な依頼によって、状況が二転三転するが、最後に見事なツイストが決まる。「夜よ鼠たちのために」はタイトル作で、少年の頃からのクサレ縁の2人の男を描いて、やるせない人間模様と叙述の技巧が冴え渡る逸品。「2重生活」は夫婦と夫の愛人と言うありきたりの3角関係を描いて、単なる心理描写だけでなく、最後に驚くべき仕掛けを用意していると言う秀作。

どれを取っても登場人物の卓越した心理描写と本格ミステリ的アイデアで読者を楽しませてくれる珠玉の傑作短編集。
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