『夜は千の眼を持つ』(以下『夜千』)はコミックビームの草創期から連載されている、現時点で最長の連載漫画です。
著者のウエケンは、費やした労力とその見返りが釣り合っていないことで有名な漫画家ですが、その原因は彼自身のギャグの発想にあります。
一ページをぎっしりと使用しての大長編文学の漫画化、ひたすらに他の数多の漫画家の絵を模写(トレースにあらず)、トーンのハギレ(余り)を用いた怪獣漫画………こんなのをやってくれるのはウエケンしかいません。
とにかくページを開くたびにさまざまなギャグがあらわれるので(なにぶんぶ厚い本なので…)、ところどころパラパラとめくってそこから読む、などという読み方をすることもアリだと思います。帯にあるようにまさにギャグ漫画の百科事典です。冒頭から巻末まで、一向にパワーの衰えを見せません。
長らく単行本を期待する声がありましたが、実際に発売されることを知って、喜ぶ反面驚いたのは僕だけではないと思います。不意にそう感じさせるのが、ウエケンの持ち味なのでしょう。約450ページ、非常にお買い得な本で発売してくれたビーム編集部に、それからなによりウエケン本人に感謝です。せっせと「あの」アンケート葉書を書くとします。
単純に原稿が貯まるだけでもあと三年はかかる(笑)続刊を、何とかしてファンの間で実現させたいところです。ギャグ漫画を好きな人のみならず、「なにかに必死になる人」を知りたい人にぜひ読んでほしいと思います。
備考:その際、読むときにはあまり肩に力を入れず、「よ〜し読んでみるか! ヒマだからな!」と唱えることをオススメします。