作者の代表作で映画化もされた。その時の主演はS.ポワチエ。うだるような暑さの夏の夜、アメリカ南部のある街で若い女性が殺された。偶然その街を通りかかった黒人が犯人として逮捕されようとするが、実はその黒人は敏腕刑事だった。
話は勿論この殺人事件の解決の過程を描くものだが、背景の描写が卓越している。南部に残る黒人蔑視と戦いながら捜査を進める主人公、ムラの閉鎖性、人間関係の歪み、そして常人でも正気を失いそうな暑さ。暑さは本作で1つのキー・ポイントとなっており、読んでいても暑気に当てられそうだ。映画ではS.ポワチエの貫禄があり過ぎて周りが霞む程だったが、実際に一介の黒人刑事だったとすると、その閉塞感の凄さが予想できる。
勿論、ミステリとしても良く出来ており、人種問題、社会問題と本格風味を融合した秀作。