この小説を読んだ方の多くが、俊介と裕里子の物語に目を奪われることでしょう。
私も、実は読み終わるまで、そうでした。
でも、解説を読み始めて『失踪宣告申立書』との時間関係に気づいた時・・・
この申立書は、裕里子の夫である涌井の、妻に対する最後の愛の証なのではないだろうか?
と、呆然としたのです。
裕里子を待ち続け(帰ってくる希望もない中)7年という、法律上必要な年月を経て、
彼女を『死亡』させることで、彼女を解放し、幸せを願うような・・・
涌井という夫は、そういう人なんでしょう。
皆で一緒に暮らすなんて、むちゃくちゃな提案をしたのも、
そういうことでしか、愛情を示せない、可哀想な人なんじゃないかな・・・?
ここに出てくる皆のその後が気になりますが、
人と関わるということを、深く考えさせられました。