川上弘美さんが好きで、エッセイ以外はほとんど読んでいます。
本作もちょうどGW前に発売となったので、早速読了。
感想としては「川上さん、だんだん即物的になってるかなあ」というところです。
先日「文学界」での連載が終了した「真鶴」もそうですが、初期の頃から最近までの短編にあった「うそばなし」的要素はほとんどなく、「センセイ」や「溺レる」、「ニシノ」あたりにある、ヴェールがかかったようなエロティシズムも後退して、ごく日常的な「不倫」とか「離婚」とかのモチーフが、連作短編としてここに存在しているような感じです。
まあ、悪くはないですよ、もともと非凡な筆力と表現力がある作家さんですし。楽しめます。
ただ、このままで行くと、川上さんが川上さんであるためのレゾン・デートルみたいなものが、段々希薄になっていくような気がして仕方がないです。
悪く言えばこの作品や「真鶴」は、ただの平凡なおばちゃん文学になっちゃっている。
この傾向は、長いのになると顕著みたいな印象があります。
昔からうすうす思っていたのですが、川上さんは、あまり長いのが得意じゃないんじゃないでしょうか、失礼ながら。
あの、川上さん的な、手製手榴弾のような(中には家庭用花火の火薬が一杯入っている)短編集がまた読みたいな、と思ってしまいました。