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22 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ユーモアもなく暗く重たい。しかし、これも北杜夫である,
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レビュー対象商品: 夜と霧の隅で (新潮文庫) (文庫)
「夜と霧」。これはナチス政権下のドイツで’41年に出された特別命令で、非ドイツ国民で国家に対する犯罪容疑者は、夜間秘密裡に逮捕して強制収容所におくりこみ、その安否や居所を家族親戚にも知らせないというものである。後には家族の集団責任という解釈がなされ、政治犯容疑者が家族もろとも一夜にして消え失せることになる。そして、この命令が、ナチスの本質をあらわす強制収容所での出来事を象徴しているということで、強制収容所での体験を描いたフランクルの作品の日本での題名「夜と霧」になっている。
北杜夫の「夜と霧の隅で」は、夜と霧命令による嵐が吹き荒れる中で決定した、不治の精神病患者に対して実施される安死術に抵抗して、あらゆる治療を試みる医師達の姿を描いた作品である。 ナチス政権下のドイツにおいてその抵抗は無意味である。それは、彼らにも解り切っていることである。それでも、彼らはあらゆることを試みる。それは、医師としての使命感なのか、人間としての使命感なのか、人間の尊厳とは何か…。透明感のある著者の文章が、この作品を、より暗く、より重たくしているのではとさえ思える。 北杜夫の作品にはユーモアと叙情性が溢れるものが多く、本作のような、明らかに暗く重たいテーマを持った作品はあまりない(数少ない中に“こども「黄いろい船所収」”という作品がある)。しかし、これも北杜夫なのである。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
夜と霧作戦がモチーフ,
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レビュー対象商品: 夜と霧の隅で (新潮文庫) (文庫)
日本人純文学作家の作品の中に、たまに戦時中のナチスドイツを描いたものを見かけます。人間というものは極限状態に置かれた時にこそ、その真価が問われるものであり、まぁナチスドイツというのは極限状態の典型例のようなものでしょうね。 それに、連合国軍側から見たナチスドイツでもなく、ドイツ人の目から見たナチスドイツでもなく、日本人の目から見るからこそ、余計な感情や感傷が混入せず、より客観的に見ることができる、というのもあるかもしれません。 本書の表題作『夜と霧の隅で』は、ナチスドイツを舞台とした作品です。ナチスに翻弄される中、医師としてできることを最大限にしようとする人々の煩悶する姿を、彼らの押し込まれるいびつで窮屈な世界を、堅くしっかりとした文章で築き上げています。ちょっと難しくはありました。 作者の北杜夫といえば、アララギ派の歌人斎藤茂吉の息子で、『どくとるマンボウ』シリーズが代表作として有名なようですが、本作もまた間違いなく代表作の一つといえるでしょう。
11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
43回芥川賞作品〜遠藤周作との接近,
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レビュー対象商品: 夜と霧の隅で (新潮文庫) (文庫)
1960年度上期の第43回芥川賞作品である。
一般には、「どくとるマンボウ」物のユーモア作家が、戦争犯罪に正面から取り組んだ意欲作である。最初に読んだ時には、「この人はまじめな日とか、お笑いの人か?」悩んだが、そういう二面性はその後受け入れられるようになった。 医師として、この作品は書かざるをえなかったのではなかろうか? ところで、同じテーマは、1955年度上期の33回芥川賞を「白い人」で獲得した遠藤周作が、「海と毒薬」で後に取り扱っている。 深刻な問題を正面から取り上げた二人が、他方で「どくとるマンボウ」と「狐狸庵」先生として様々なユーモアに富んだ共著を出すのは、偶然なのだろうか?不真面目なのだろうか? 彼らとて、緊張だけではやっていられないのであろう。 深刻な問題とユーモアの落差があれば、あるほど、深刻な作品の深みが増すといったらいいすぎであろうか? なお、遠藤周作については、いずれリストマニアを作ります。
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