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21 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
仮定をもとにした一冊,
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レビュー対象商品: 多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書) (新書)
オリエント諸宗派の中から、世界で類を見ない「一神教」がどのように生まれてき
たのかを考察した本……なのだが、あまり学術的ではなく、「〜と感じられてなら ない」「〜に違いない」みたいな、推論で書いてあってホントかー?みたいな感 想。エジプトのイクナートン王のアトン神の信徒の子孫=ヘブライ人ってのは、か なり怪しい説だなぁ。影響はあったと思うんだけど… でも、「古代の人の宗教に対する《心性》がどのように変化していったか」という 観点から、信仰の流れを見るというのは面白いと思いました。しかし、それもどう やら「神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡」という本からのまとめ?(みたい) 筆者によれば、紀元前1000年ごろから、アルファベット文字の普及などにより古代 人の心性に変化が生じ、それまでの信仰の仕方が変質していき、やがて普遍神から 一神教の発生をみた、ということらしい。 しかし、そのような仮説であれば、別に他の地域からも一神教が現れても不思議で はないのに、歴史上「唯一神」を発明したのは地中海地方のみ。そこらへんの疑問 には答えておらず、首肯できないところがありました。 ポンペイの神殿を巡る記述とか、イメージを喚起してくれるところは多く、読みや すくて楽しく読めましたが、学術的なところはちょっと食い足りなかったかな、と いう感じ。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
古代人の”心性”の推察に基づいた、一神教成立理由の興味深い仮説。,
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レビュー対象商品: 多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書) (新書)
シュリーマンがトロイを発掘して神話が史実となったように、ホロメスの詩が絵空事でないならば、そこに古代人の心性が甦る、と著者は言う。本書のテーマは、先史時代から慣れ親しんできた多神教の神々の世界から、人類史的には例外的ともいえる一神教への道が開かれたのは一体なぜかという問いである。
著者の答えは、紀元前1000年期の地中海世界に現れた二つの状況、即ち、社会的危機と抑圧、及びアルファベット文字の普及、がそれをもたらした契機になったと言うものである。これらが人々をして神々の声を聞こえなくせしめ、姿も見えなくし、不幸の原因ではなく意味を問うようにした、そして、神の声を失った人間の意識の裂け目から、自らに向けられた眼とも言うべき存在が出現してきた。だから、そのような人々は、生きる希望が必要である人間として、超越的で排他的で規範と倫理を要求する唯一神の存在を信じるに至った、と言うのだ。 著者は、紀元前20世紀頃から帝政ローマに至るまでの地中海世界(メソポタミア、エジプト、ペルシャ、ギリシャ、ローマなど)における叙事詩、文書、神話等を、当時の人々の心性と言う観点を重視して、時系列的に、地域連関的に、時々近代科学の知識を用いて(ここの部分はやや蛇足的と小生は思いましたが)解釈して行き、そのような仮説を提出している。この本は、歴史上の知識と言うよりも、そこのところ、つまり昔の人の”心性”と言う観点から歴史を解釈するという面白さ、有効さを、巧みに且つ興味深く教えてくれていると思います。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
古代地中海世界の宗教について,斬新なグランドデザインを示す,
By 大宅世継 (神奈川県鎌倉市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書) (新書)
古代地中海世界において人類が初めて「神」を見出したとき,それは種々の事物の中に見出された,多神教の神であった。
しかし今日の世界では,人類の過半が,ユダヤ教,キリスト教,イスラム教という一神教の信者である。 これは何故だろうか?四千年という人類史の大半を占める古代史を解析することで,上記のような人々の心性の変化を 明らかにすることが本書のテーマとなっている。 古代の人々にとって宗教の持つ意味合いは大きく,宗教をめぐる人々の心性の変化を明らかにすることは, 生き生きとした歴史を把握するのに必要なのだろう。 筆者は結局の所,文字,それも表音文字たるアルファベットの発明と,抑圧された環境が一神教の発達の要因であると結論する。 そして,一神教の地中海世界全体への拡がりが,ポリスといった公共体の解体と個人としての信仰の出現にも関係すると主張する。 詳細は本書を読むしかないが,「多神教においては神々が人々に語りかけていたが,一神教ではそれが見られない。 神は人々の内面をのぞき込んでくる」との主張は難解である。 また,「アルファベットの普及が論理性をもたらし,一神教への道筋をつけた」との記述と 「論理ではなく個人の感覚的な神との出会いが一神教をもたらす」との記述がどの様に整合するのか,判然としない。 もっとも,その他の部分も歴史的事実を綿密に分析するというよりは,大胆な推論を繰り返す面が多く見られるから, 大まかなグランドデザインを示すものとして読むものだろう。アクエンアテンの一神教とユダヤ人の出エジプトを関連づけるあたりなど, 実に胸が躍った。 何故地中海世界のみに一神教が生まれたのか,紀元一世紀のローマ帝国に多数流入した振興一神教で何故キリスト教が生き残ったのか等 疑問は尽きないが,ひとまず古代史を見渡すに楽しい一冊である。
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