畑中良輔指揮慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団と福永陽一郎指揮関西学院グリークラブによって演奏される男声合唱組曲『雪明りの路』を聞き比べ出来ることは嬉しい限りです。
大学の男声合唱団がメンバーの減少により往年の輝きを見ることが出来なくなった現在、このような過去の名演奏をたどることは日本の男声合唱の歩みをたどることと同意義を見出すことになりそうです。
御存知のように東の代表慶應ワグネルと西の代表関学グリーの競演です。ステージを数多く聴いてきたファンにとってこれらの演奏は、30年以上前の収録ではありますが、往年の素晴らしい演奏を追確認できます。厳密に聴きますと、微妙な和音の狂いも見うけられますが、当時の学生諸君の思いが如実に伝わってきます。
「春を待つ」の温かい響き、「月夜を歩く」の密集和音のハモリ、「雪夜」の終盤の美しさ、名曲揃いですね。
「雨」は、吉村信良指揮京都産業大学グリークラブと北村協一指揮立教大学グリークラブによる演奏の競演です。この終曲「雨」は多田武彦による数多の作品の中でも一番美しい趣を携えた曲でしょう。八木重吉の簡潔な詩にとても美しいメロディとハーモニーを充てています。男声合唱の真髄とも言えるハモリを体感できる曲なのは間違いありません。尾形光雄さんのテノールソロは感涙ものでした。