一度でもこの本に目を通した方ならば、抵抗無く「入門」というのは専門的な話題に入る為の入門という意味だということに同意して下さるでしょう。「多様体」という言葉を全く知らずにこの本を読みこなすのはなかなか大変です。あえて一般的に語るならば、この本は「何度も参照するための本」だと言うことが出来ると思います。厳密なので、物理系の人はわざわざこの本を真剣に読むことも無いかも知れません。しかし、「基礎」というものがどんなものかを知りたい人、すなわち真剣に数学を身に付けようという人には読むことを強くお勧めします。
内容については特に詳しく説明する必要は無いと思いますが、各章の題名と大まかな内容については書いておきます。
1:序論
序論です、位相空間論、線形代数、微積分から必要な事項を取り出します。この本を読むためには当然十分に理解していなくてはならないことばかりですから、あまり我々読者の役には立たないでしょう。短い序論です。
2:可微分多様体
微分が出来る高次元の図形、即ち可微分多様体というものをあらかじめ認めて(定義して)、多様体の微分をどうしたものかと考察するわけです。解析でやったような微分を幾何学的に考察するだけだと言い切ることはできないでしょう。多様体の微分学は厳密です。この本では特に厳密です。嬉し涙が出るほどです。
3:微分形式とテンソル場
より高度な内容ですが、それは即ち深くなるという意味だと思います。微分をより計算しやすく、幾何学的な意味を捉えやすくするために「微分形式」という考え方を用意するのです。テンソル場はそれに関連したというか不可欠な概念です。凝縮して書かれているようで、私はこの場面では頭の整理が大変でした。幾何学好きはこの章で覚醒することは間違いないでしょう。その場合は大いに悶絶して下さい。
第四章以下はだんだんと高度な話題に移ってきますが、前半を読めば深みが了解できます。