黄金の埋蔵場所を示す十五個の鈴。十五人の童貞女の秘所に秘められた十五の鈴をめぐって、由比正雪(張孔堂)配下の甲賀衆十五人、松平伊豆守配下の天草党(伊賀者)十五人、前述した童女(大友・くノ一)十五人の忍者たちが、三つ巴の死闘を繰り広げるストーリー。
己れの傷がそのまま相手に反映される「忍法 山彦」。皮膚が刃も通さないなめし皮に変じる「忍法 肉鎧(にくよろい)」。女の愛液、男の精液を摂取することで、女、男のいずれにも変身することが出来る「忍法 おんな化粧」「忍法 おとこ化粧」。砂によって絵を描く大道芸の砂絵の如く、自分の分身を描き出す「忍法 水絵」。などなど、忍者たちの奇奇怪怪、不思議の忍法の数々が面白いですね。よくもまあこれだけ色んな技を考えるものだなあと、作者の奇想の妙に恐れ入りましたってな感じ。
ただし、忍者の総数が多いため、話の半ばからどちらが甲賀者か伊賀者かよく分からないうちに、忍法が繰り出されてはどんどん死んでいく。話のテンポがモルト・アレグロ(非常な急速調)で進撃していくところにわくわくした反面、『甲賀忍法帖』のトーナメント十番勝負などと比べるとせわしない印象を受けました。
とまれ、奇天烈な忍法が矢継ぎ早に繰り出されていく面白さは、やはり並のものではありませんね。ラストは、戦中派・山田風太郎の痛烈な一撃と言うしかないなあ。
スピーディーな展開と相俟って、存分に楽しんだ一冊。