明快で、シンプルなコンセプトの本だ。登場するのは、全て外資系日本法人のトップ。総勢10人にインタビューした内容を一冊にまとめてある。
各自のビジネスパーソンとしての経歴やそれ以前の経験、成功談、失敗談、苦労したこと、様々なエピソードなど、こうすれば英語が上手くなるというような既に世の中に溢れている平板な切り口に当てはまらない話がいろいろ織り込まれている点が特徴といえる。もちろん、彼らはみんな英語ができるが、それ以前にビジネスの世界で一定の成功を収めてきた人達なのだ。
アメリカの企業だけではなく、ヨーロッパ企業の日本法人に所属している人たちも多く含まれている点にも注目したい。今や、英語は英米人相手のビジネスで使うためのものとは限らない。ヨーロッパの人達と仕事をする場合でも、成長著しいアジア各国と取引をする際にも、結局は英語である。当然上手いに越したことはないし、英語や英語学習継続の重要性は当たり前のように語られているけれど、求められるのは国際的なコミュニケーション能力であり、ネイティブスピーカの英語力を目指せなどと言っているような人は少なくともこの本には一人も登場しない。
もうひとつ、とても印象的だったことがある。グローバリゼーションが進行する中で、この人たちは多かれ少なかれ「多様性」ということがその中の重要なキーワードのひとつだと理解していることだ。だからこそ、日本人が日本のことをよく知り、少々控えで内向きな姿勢を改めて日本人の強みを活かし、同時に各国の文化的な背景に対する理解も深めて自らのアイデンティティに根ざした国際的なコミュニケーション能力を磨いていかなければならないことが各所で説かれている。英語力はその土俵に上がるための最低限の参加チケットでしかないようだ。