優秀な外科医の言葉って、心に響きます。
注意深い観察と、深い経験と、それらに基づいた信念が、ひしひしと伝わってく
るからです。
内科医からみて、手術はとても怖いです。生きたひとの体、それぞれみんな違う
もの、にメスを入れていくのは、一歩先がみえない怖さがある。ひとつひとつが、
不確実な決断。一部しか情報がない中で瞬時に決断する、という恐ろしいことを、
自らと自らの先輩の経験に基づいた強い意志を武器に繰り返すのが外科医として
の仕事なのだろうと、見ていて感じる。
患者と一緒に悩み迷い続けることを忘れた内科医はだめ医者ですが、悩み続けて
決断できない外科医はほんとうに最悪。内科は迷いがより大切で、外科医は決断
がより大切。そんな悩みと決断のバランスの違いが、外科医と内科医の気質の違
いに出てくるのだろう。そしてきっと、そんな強い決断の積み重ねが、外科医独
特のかっこよさにつながってくるのだと思う。
本を読んでいて文章の背景に強く感じたのは、そんな現場の外科医たちの、日々
の経験・観察と、決断と、決断の中忘れない迷いと疑問と。その医者としてのプ
ライドは、読んでいて心地いい。
以下細かいところ。
「腹部手術後のドレーンを入れるべきか」
常識的主義をあらためて信念が違う外科医でする議論は、思考方法が門外漢にも
勉強になります。
「手術前のチェックはわざわざ大げさな検査を行わなくても多くは問診や診察で
チェックできる」
内科でもけっこうできない。数字がでると、客観化され絶対的になったような気
分になって(まやかしなのに)落ち着くという医者は多い。問診や身体診察がで
きない上級医に限って、検査していないことについて部下を叱責する。ともあれ、
問診や診察はきちんとやりたい。…時間ないけれど。