帯には「世界的宇宙物理学者が新しく提唱する科学的アプローチによる外国語習得法」とある。
著者は、「世界的」宇宙物理学者なのかもしれないが、この本はどうみても「外国語習得法」として体をなしていない。もとより、「新しく提唱する科学的アプローチ」が入っているとは思えない。
とりわけ、最初のほうの数章は、論旨も一貫せず、てんでんばらばらに思いつくまましゃべっている感じである。読みにくいのは、文章が下手というよりも、中味が整理されていないためだと思われる。英語の話かと思えば、ロシア語の例がでてきたり、自分の経験が入ったり、横道にそれたり、重複したり。説明不足のところもめだつ。
「IX.語彙をふやそう」に来て、ようやく、少しわかりやすくなってきたものの、「接頭語と接尾語」の部分は、たんに羅列しただけであるから、外国語を習得するために本書を買った読者にとっては、ただ辞書を眺めているのと同じことでしかない。著者は、自分はこういう構造もよく把握している、といいたいのだろうが、かならずしも理系でなくとも本格的に外国語にとりくんでいる人にとっては何ら目新しいものではない。
本書のタイトルだけは、中味をそれなりに反映している。
星の数ほどもある外国語習得法のかんする本を、著者は少しは参照されたほうがいい。この本は、想定される読者にたいする配慮がいささか欠けている。