日本社会・日本経済がどのように海外から見られているか、客観的に自国を見つめ直すための必携書であり、Strong Buy(強い買い推奨)とするのに相応しい。各所において鋭利で洞察力に優れた観察が光っている。
○「自己中心的な老人と無気力な若者の国」とのイメージが形成されつつある
○欧州投資家は日本がポルトガルのように没落するのではないかと懸念している
○日本の電機セクターの国際競争力低下が著しい
○海外投資家には人口動態に大きな関心を払う者が多い
○子ども手当の減額で、日本が少子化問題を改善させる微かな期待が潰えた
○日本がなぜ移民を受け入れないのか、訝る海外投資家が多い
○訪日観光のポテンシャルには期待している
以上のように、奇妙な心理的バイアスを排して経済政策を論じるのに好適である。金融関係者や投資家ならずとも興味深く読めること請け合いだ。実用的な面で言えば、巻末の著名外国人投資家の紹介が非常に興味深い。
ただ東証は景気循環でしか買えないのでは、と問題提起されているが、それは今世紀に入ってからの成長率と景況の外需との連動性を見れば余りにも明らかである。
また、外国人投資家の習性や動きを理解するには前著の『外国人投資家』をお薦めしたい。
『外国人投資家』菊地正俊昨年公開されるようになった日本企業の役員報酬の「横並び」「お手盛り」を指摘した箇所も興味深い。某大手印刷会社の高額報酬をやんわりと批判しているが、全くその通りだと思う。関係者によれば、ここは所謂乗っ取りによる経営権奪取があり、それをスクープした経済誌の印刷を止めると脅してゴシップを握りつぶしたとか。