『外交談判法』などというタイトルの本に、現代の社会人は何を期待するのだろう。
交渉相手を出し抜く手練手管が書かれていることを
期待する人がきっといるはずである。
陰謀渦巻くフランスの宮廷で蓄積されたノウハウを身に着けたいと。
この本が述べていることは、その真逆。
いかに誠意が大事か、信頼が大事か、そういうことだ。
そして、信頼を得るためには、美味いものを一緒に食い、
季節の挨拶を忘れず、家族ぐるみで親しくする。そういうことが大事だと。
なんだ、当たり前の話じゃないかと思うに違いない。
だが、問題が生じたときに奇策や陰謀で窮地を切り抜けるより
当たり前の正攻法で、そもそも問題を起こさないようにすることの
ほうが世の中よほど大事なものだ。外交だってその例外ではない。
良い関係が続く、野次馬には退屈この上ない状態を維持する
ことが大事なのである。
血わき肉踊る諜報で会議を進める方法は書いてないが、
会議が進まなくてもひとまず踊っておくことの意味は十分わかるだろう。