1兆6千億という巨額の資金提供をしたアメリカが湾岸戦争に勝利しても、日本は何一つ得られなかった。
この歴史的な敗戦を明らかにしたことに本書の意義があり、これ以上の類書はない。
取材源が偏っているといった印象はあるものの、本書の価値が減るものではないだろう。
「日本の外交力」が低いとはかねてから言われており、国民一般も薄々そのことに気づいている。
ODA等、世界中に金をばらまきながら、北朝鮮、米国、中国といった国との交渉で優位に立った気配を微塵も感じないのはなぜか。
外務省の組織や外交官の育成方法を非難するのは簡単である。外務省の幾多の失態に憤りつつも、「お金をだせばすむ」「見てみぬフリ」「強く言われると弱い」といった、日本外交の弱点をそれなりに理解できてしまうのは、それが私達日本人が広く持っている心性の表れであるからに他ならず、日本の外交は日本人の力そのものだという視点は忘れてはならない。
テレビ出身でありながら、著者の文章力も並外れていて、スパイ小説のようなテンポで一気に読めるので、エンターテイメントとしても秀逸な日本外交の貴重な記録である。